タイル品質管理
寸法
区分 | タイルの製作寸法(㎜) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
50以下 | 50を超え105以下 | 105を超え155以下 | 155を超え235以下 | 235を超え305以下 | 305を超え455以下 | 455を超え605以下 | |
AI (押出し成形Ⅰ類) |
±1.5 | ±2.0 | ±2.5 | ±3.0 | ±3.0 | ±3.5 | ±3.5 |
AⅡ (押出し成形Ⅱ類) |
±1.5 | ±2.0 | ±2.5 | ±3.0 | ±3.0 | ±3.5 | ±3.5 |
AⅢ (押出し成形Ⅲ類) |
±0.8 | ±1.2 | ±1.6 | ±2.0 | ±2.0 | ±2.4 | ±2.4 |
BI (プレス成形Ⅰ類) |
±0.8 | ±1.2 | ±2.0 | ±2.4 | ±2.4 | ±2.8 | ±2.8 |
BⅡ (プレス成形Ⅱ類) |
±0.8 | ±1.2 | ±2.0 | ±2.4 | ±2.4 | ±2.8 | ±2.8 |
BⅢ (プレス成形Ⅲ類) |
±0.6 | ±0.8 | ±1.0 | ±1.2 | ±1.4 | ±1.6 | ±2.0 |
厚さ
区分 | 許容差(㎜) |
---|---|
AI (押出し成形Ⅰ類) |
±1.5 |
AⅡ (押出し成形Ⅱ類) |
±1.5 |
AⅢ (押出し成形Ⅲ類) |
±0.7 |
BI (プレス成形Ⅰ類)(製作寸法105以下) |
±0.7 |
BI (プレス成形Ⅰ類)(製作寸法105を超え605以下) |
±1.2 |
BⅡ (プレス成形Ⅱ類)(製作寸法105以下) |
±0.7 |
BⅡ (プレス成形Ⅱ類)(製作寸法105を超え605以下) |
±1.2 |
BⅢ (プレス成形Ⅲ類) |
±0.5 |
ばち
ばちとは、正方形のタイルの四辺、または長方形のタイルの相対する二辺における寸法の不揃いのこと。
正方形の場合は四辺の寸法の最大値と最小値の差で表します。
長方形の場合は相対する二辺の寸法の差で表し、長辺の差を長辺のばち、短辺の差を短辺のばちと言います。
なお、不定形タイルには適用しない。
●役物及び各辺が50㎜以下のモザイクタイルについては、目視検査で目立たなければよい。
区分 | タイルの製作寸法(㎜) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
50以下 | 50を超え105以下 | 105を超え155以下 | 155を超え235以下 | 235を超え305以下 | 305を超え455以下 | 455を超え605以下 | |
AI (押出し成形Ⅰ類) |
1.5 | 2.0 | 2.5 | 3.0 | 3.0 | 3.5 | 3.5 |
AⅡ (押出し成形Ⅱ類) |
1.5 | 2.0 | 2.5 | 3.0 | 3.0 | 3.5 | 3.5 |
AⅢ (押出し成形Ⅲ類) |
1.0 | 1.4 | 1.6 | 2.0 | 2.0 | 2.4 | 2.4 |
BⅠ (プレス成形Ⅰ類) |
1.0 | 1.4 | 1.6 | 2.0 | 2.0 | 2.4 | 2.4 |
BⅡ (プレス成形Ⅱ類) |
1.0 | 1.4 | 1.6 | 2.0 | 2.0 | 2.4 | 2.4 |
BⅢ (プレス成形Ⅲ類) |
0.6 | 0.8 | 1.0 | 1.2 | 1.4 | 1.6 | 2.0 |
反り
「反り」とはタイルの湾曲をいい、「面反り」「辺反り」「ねじれ」がある。
タイルの両端から約5㎜のところを基点として基点を結ぶ直線からの垂直距離を直線の中点」(側点)で測り、「反り」としている。
「ねじれ」は、面反りで測ったときの2つの反りの値の差をいう。
ただし、役物および各辺が50㎜以下のタイルについては、目視検査で目立なければよいことになっている。
なお、不定形タイルには適用しない。
●面反り、辺反りは裏面を人為的にでこぼこにしたものには適用しない。
●辺反りは長辺が短辺の2倍を超える長方形状タイルには適用しない。
区分 | 項目 | タイルの製作寸法(㎜) | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
50を超え105以下 | 105を超え155以下 | 155を超え235以下 | 235を超え305以下 | 305を超え455以下 | 455を超え605以下 | ||
AI,Ⅱ (押出し成形Ⅰ,Ⅱ類) |
面反り | ±1.2 | ±1.6 | ±2.0 | ±2.0 | ±2.4 | ±2.4 |
AI,Ⅱ (押出し成形Ⅰ,Ⅱ類) |
ねじれ | 0.9以下 | 1.2以下 | 1.5以下 | 1.5以下 | 1.8以下 | 1.8以下 |
AI,Ⅱ (押出し成形Ⅰ,Ⅱ類) |
辺反り | ±1.2 | ±1.6 | ±2.0 | ±2.0 | ±2.4 | ±2.4 |
AI,Ⅱ (押出し成形Ⅰ,Ⅱ類) |
側反り | ±1.0 | ±1.5 | ±2.0 | ±2.0 | ±2.5 | ±2.5 |
AⅢ,BⅠ,Ⅱ (押出し成形Ⅲ類,プレス成形Ⅰ,Ⅱ類) |
面反り | ±0.9 | ±1.2 | ±1.5 | ±1.5 | ±1.8 | ±1.8 |
AⅢ,BⅠ,Ⅱ (押出し成形Ⅲ類,プレス成形Ⅰ,Ⅱ類) |
ねじれ | 0.7以下 | 1.0以下 | 1.2以下 | 1.2以下 | 1.4以下 | 1.4以下 |
AⅢ,BⅠ,Ⅱ (押出し成形Ⅲ類,プレス成形Ⅰ,Ⅱ類) |
辺反り | ±0.9 | ±1.2 | ±1.5 | ±1.5 | ±1.8 | ±1.8 |
AⅢ,BⅠ,Ⅱ (押出し成形Ⅲ類,プレス成形Ⅰ,Ⅱ類) |
側反り | ±0.8 | ±1.2 | ±1.6 | ±1.6 | ±2.0 | ±2.0 |
BⅢ (プレス成形Ⅲ類) |
面反り | ±0.6 | ±0.8 | ±1.0 | ±1.0 | ±1.2 | ±1.2 |
BⅢ (プレス成形Ⅲ類) |
ねじれ | 0.5以下 | 0.6以下 | 0.8以下 | 0.8以下 | 1.0以下 | 1.0以下 |
BⅢ (プレス成形Ⅲ類) |
辺反り | ±0.6 | ±0.8 | ±1.0 | ±1.0 | ±1.2 | ±1.2 |
BⅢ (プレス成形Ⅲ類) |
側反り | ±0.8 | ±1.2 | ±1.6 | ±1.6 | ±2.0 | ±2.0 |
直角性
タイルの端から約5㎜のところを支点とし、もう一方の端から約5㎜離れたところの出入りを測る。
ただし、役物、各辺が50㎜以下のタイルおよび短辺が50㎜以下の長方形のタイルについては、外観検査を行ったとき、目立なければよいことになっている。なお、不定形のタイルには適用しない。
区分 | タイルの製作寸法(㎜) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
50を超え105以下 | 105を超え155以下 | 155を超え235以下 | 235を超え305以下 | 305を超え455以下 | 455を超え605以下 | ||
AI,Ⅱ (押出し成形Ⅰ,Ⅱ類) |
2.0 | 2.5 | 3.0 | 3.0 | 3.5 | 3.5 | |
AⅢ,BⅠ,Ⅱ (押出し成形Ⅲ類,プレス成形Ⅰ,Ⅱ類) |
1.4 | 1.8 | 2.2 | 2.2 | 2.4 | 2.4 | |
BⅢ (プレス成形Ⅲ類) |
0.8 | 1.0 | 1.2 | 1.4 | 1.6 | 2.0 |
裏あし形状及び高さ
外装タイルや外装タイル以外で屋外の壁に使用するタイルの場合、裏あしの形状はあり状とし、その高さは表のとおりです。
モデュール呼び寸法がM150×50及びM200×50ものについては、1.2㎜以上とする。
備考:裏あしの高さの最大は3.5㎜以下である。あり状とは、裏あしの先端部分の幅が付根部分又は高さの中央部分より広いことを言う。
タイルの表面の面積 | タイルの表面の面積 裏あしの高さ(㎜) |
---|---|
15㎠未満 | 0.5以上 |
15㎠以上60㎠未満 | 0.7以上 |
60㎠以上 | 1.5以上 |
役物の角度
製作寸法で定めた部分の角度を測る。ただし、複数の面で構成され、かつ、隣接する面との角度が直角の関係にあるものに適用する。
なお不定形タイル、表面を人為的にでこぼこにしたタイルおよび各面または小さい方の面の長さが45㎜未満の物については適用しない。 角度の許容差:±1.5度
表面品質
1個のタイルに対しては重欠点は手にとって観察し、軽欠点は約1m離れた地点から、またタイルの相互間の色調などの不揃いを調べる場合は、約2m離れた地点から、平物で0.1~2㎡(タイルの大きさによって異なる)の面積に並べ眺めて、目立つ欠点があるかどうかを判定します。欠点の基準は種類によって異なります。
吸水率
外装タイルや外装タイル以外で屋外の壁に使用するタイルの場合、裏あしの形状はあり状とし、その高さは表のとおりです。
モデュール呼び寸法がM150×50及びM200×50ものについては、1.2㎜以上とする。
備考:裏あしの高さの最大は3.5㎜以下である。あり状とは、裏あしの先端部分の幅が付根部分又は高さの中央部分より広いことを言う。
試験は、煮沸法または真空法の何れかで測る強制吸水率で、素地が緻密かどうか、気孔が多いかどうかの目安になる。
従来のような、自然状態でどれだけ吸水するかという試験ではないため、耐凍害性の判断には使えない。耐凍害性は凍結融解試験で評価する。
吸水率による区分 | 吸水率(%) |
---|---|
Ⅰ類 | 3.0%以下 |
Ⅱ類 | 10.0%以下 |
Ⅲ類 | 50.0%以下 |
耐貫入性
うわぐすりのひびを貫入と言い、その有無を調べる耐貫 入性の試験を行います。試験体をオートクレーブ内で水に浸からないように保ち、密閉した状態で、約1時間で所定の圧力(1MPa{10.20㎏f/㎡})になるよう温度を上げ、そのまま1時間、所定の圧力以上に保ちます。その後、蒸気を排出して試験体を取り出し、布でふいて貫入の有無を調べます。施ゆうタイルは、この試験で貫入が生じないことが規定されています。ただし、装飾のために貫入を施したタイルには適用しません。
耐摩耗性
使用部位の区分で屋外床および屋内床を使用可とするタイルに適用する。
タイル素地の耐摩耗性試験
(1)鋼製ディスクをタイルに押し当て、ディスクを回転させな がらタイルとの間に研磨材を落下させる。ディスクを150 回転させた後のタイルの摩耗体積を測る。
(2)タイル表面に、鋼球、アルミナと水を入れた試料固定ホルダーをかぶせ、それらを取り付けた摩耗装置を偏心回転させる。一定回数ごとにタイルを取り出し、変化が認められるかどうか目視観察する。最初に変化が認められた回転数でクラス分けをする。
使用部位の区分 | 摩耗体積(㎟) | |
---|---|---|
屋外床 | 通常の場所 | 345以下 |
屋内床 | 土足で歩く場所 | 540以下 |
●人通りの多い場所に設置するタイルは、175㎟以下が望ましい。
●素足で歩く場所に使用するタイルには、適用しない。
変化が認められたときの摩耗回転数 | クラス |
---|---|
100 | 0 |
150 | 1 |
600 | 2 |
750、1,500 | 3 |
2,100、6,000、12,000 | 4 |
12,000回転でも 変化がなかった場合 |
5 |
曲げ破壊荷重及び曲げ強度
タイルの端から約5㎜のところに支持棒をおき、タイルの中央に荷重をかけたときの、タイルのスパン100㎜幅100㎜に換算したときの破壊荷重。ただし、各辺が50㎜以下のタイルには適用しない。
a)曲げ破壊荷重
使用部位 | 曲げ破壊荷重(N) |
---|---|
屋内壁 | 108以上 |
屋内床・浴室床 | 540以上 |
屋外壁(60c㎡未満) | 540以上 |
屋外壁(60c㎡以上) | 720以上 |
屋外床(60c㎡未満) | 540以上 |
屋外床(60c㎡以上) | 1,080以上 |
b)曲げ強度
曲げ強度については、規格値にない。これは裏あしなどがあり、断面が長方形でないため正しい評価ができないので、参考値として意味がないからである。
耐凍害性
最初に清水中に自然吸水させたタイルを凍結状態と水で融解させた状態とを100回繰り返す。タイルの表面及び 裏面並びに端部に、ひび割れ、素地または釉薬のはがれなどの欠点が生じていないか目視観察する。厚さ20㎜以下のタイルには、気中凍結気中融解の試験を、厚さが20㎜を超えるタイルは気中凍結水中融解試験を適用する。凍害を受ける恐れのある場所に使用するタイルに適用される。
耐薬品性
各薬品溶液にタイルの約半分を漬け、漬けた部分と漬け ない部分の変化の有無を比較する。その結果をクラスに分類する。薬品としては、塩化アンモニウム、次亜塩素酸ナトリウム(プールに使うタイル)、塩酸、くえん酸、水酸化カリウムを使用する。
●施釉タイルでは切断面の観察は行いません。
切断面、非切断面、表面の変化の有無 | クラス |
---|---|
変化が認められない | A |
切断面に変化が認められる | B |
切断面、非切断面、表面に変化が認められる | C |
耐熱衝撃性
急激な温度変化や熱衝動を受けたときに、異常が生じないかを確認する試験。熱したオーブンから110℃以上の温度差のある清水中に入れ、割れ、貫入などの欠点があるかどうか目視観察する。カウンタートップのような局部的な熱衝撃を受ける箇所に使用するときのタイルに適用される。
鉛及びカドミウムの溶出性
施釉タイルの表面に酢酸溶液を置き、溶出した鉛およびカドミウムの量を原子吸光分析機で測定する。規格値はない。食物が直に接する個所に使用される施釉タイルに適用する。
関連試験内容
次の試験項目は、JIS A 5209には規定されておりませんが、安全性確認の指針となる試験です。ご参考までに掲載します。
下記のような試験機を用い、床タイルの滑り抵抗評価の一助にしております。
滑り抵抗値試験
「東工大式滑り試験機」
水ぬれする場所の床に使用するタイルの人の歩行での耐滑り性について適用します。
土足歩行の場合はCSR、素足歩行の場合はCSR・B測定します。CSR、 CSR・Bは、東工大式試験機(OY-PSM)を用いて、CSRはタイルの表面に泥水を、CSR・Bはタルクの懸濁液をまいて、785Nの荷重をかけた滑り片を斜め上方に引っ張り、滑らせたときの抵抗で評価します。特に数値の基準はありません。
接着力試験
接着力試験は、屋外のタイル張りで、とくに必要と認められる場合に行われるもので、「建築工事共通仕様書」にも、その内容が記載されています。
接着力試験は、材令に強度が得られたと判断される時期(施工後、約2週間以上)に、建研式接着力試験機を用いて行ないます。