現代マジョリカタイルとして販売された内装用タイル『どんざ』の開発において、デザインモチーフとなった淡路島の漁師の着物『どんざ』。
デザイン監修いただいた染織作家山下絵里さんへ着物『どんざ』の魅力をインタビューをさせていただきました。
どんざとの出会い
ダントー:
本日はありがとうございます。染織作家としてご活躍されている山下さんですが、山下さんのどんざとの出会いについて教えていただけますか?
山下:
私がどんざと出会ったのは2012年ごろです。その存在を知り興味を抱き、調べてみると淡路市北淡歴史民俗資料館に実物があることがわかりました。淡路島には古い資料として陶器は割とあるようですが、特に染織関係、布や着物関係はあまり残っていないんですね。資料館に足を運んで目にした瞬間に、なんて素敵なんだろうと心を動かされました。あの驚きと感動は今でも忘れません。
どんざの魅力を伝えるために
ダントー:
そのどんざをタイルのデザインのモチーフにするというご相談をさせていただいたわけですが、これまでにも異業種とのコラボレーションというのは?
山下:
はじめて「どんざ」に出会って以来、どんざの魅力をたくさんの人に知ってもらいたいと思うようになりました。
自分でも藍染をして織った生地をつくりました。洋服のデザイナーとコラボレーションしたこともあり、生地に刺し子を施したデザインの洋服も生まれています。
ただ、タイルにするというのは驚きましたね。
タイルで知るどんざの魅力
ダントー:
ありがとうございます。そんななかで、今回ダントーとのコラボレーションはいかがでしたか?
山下:
あるきっかけで、ダントーさんとお会いする機会があり、どんざの魅力についてお話しすると大変興味を持っていただきました。すぐに淡路市北淡歴史民俗資料館で実物をご覧になって感銘を受けられたようで、タイルとして製品化すると聞きました。
どんなふうにできあがるのか想像がつきませんでしたが、「どんざタイル」を拝見して、藍の色や刺し子の味わいが見事に表現されていて驚きました。きっといろいろと苦労されたと思いますが、素敵なものができて良かったです。
ダントー:
着物の専門家のかたにお褒めいただき、大変うれしいです。それでは、最後にひとことお願いします。
山下:
どんざは、淡路でも知らない人が多いので、もっとたくさんの人に知ってほしいです。タイルというかたちで表現されたどんざで、その魅力を感じていただき、深く知るきっかけになればとてもうれしいです。
インタビューを終えて
建築材料として認知されているタイルは、建築材料であると同時に工芸品であり、美術品のようでもあります。今回は同じ淡路島をルーツとする山下さんのご協力のもと、着物をデザインに取り入れることが実現しました。
タイル業界は昨今、輸入タイルに押されては来ておりますが、国産タイルメーカーのひとつとして、今後は様々な業種の方とも連携し、タイルの可能性を広げることにより、一人でも多くの皆様にタイルの魅力を知っていただければうれしいです。
山下絵里さんの素敵な作品がたくさん紹介されている工房のホームページはこちらから