タイルを生産する際、表面に模様や色を付けることを「加飾」と言いますが、近年セラミックタイル用インクジェットプリンターの出現により、セラミックタイル加飾の技術は急速に進化しました。
タイルの印刷方式
このインクジェットプリンターが出現する前の加飾技術には代表的なものとして「ロトカラー印刷」や「シルクスクリーン印刷」等があります。そのどちらも同じパターンが繰り返されてしまうということや、タイル表面の凹部分には加飾が出来ないという悩みがありました。それと比較するとインクジェットプリンターの性能が優れている点は、まずこの2つの内容をクリアしていることに加えて解像度が高いことです。
インクジェットの作業流れ
インクジェットプリンターでの作業工程をごく簡単に説明すると通常パソコンで書類をプリントアウトする時と同様で、対象物を「スキャン→プリンター出力→焼成」という流れになります。スキャンした対象物をそのまま印刷する要領で加飾することが出来るので、非常に再現性が高い木目調タイルや天然石調タイルを生産することが可能になりました。
タイルVS木や天然石
中にはタイルに木や天然石の模様をつけるのは偽物、それならタイルではなく木や天然石をそのまま使えばいいのではないかという意見もあります。タイルであることの利点は例えばそれらを屋外で使用する場合にあると思います。高圧プレスで成形されて高温で焼成するタイルは吸水率が低く、木や天然石と比較して経年劣化がほぼ無い、紫外線にも強く、部位による密度のバラつきがほとんど無いのでいつまでも元のままの美観を維持し続けることが出来るという所にあります。またタイルは不燃物なので、通常の木材と比較して燃えて火災の原因になることもない為、安全という観点から見ても十分にメリットがあると思います。
今まで使ってみたかったけどそれらの問題で使えなかった部分に木や天然石の意匠を持ったタイルであれば問題無く使える、という発想で捉えることが出来れば選択肢はもっと広がります。
焼き物風再流行?
一方でインクジェットタイルが普及する中、タイル本来の「焼物らしく」というテイストも今また注目されています。Danto Tileでも昔生産していたマジョリカタイルを復刻しましたが、そういった「古き良きもの」に賛同頂ける方が予想を遥かに上回る程たくさんいらっしゃることには正直驚きました。歴史のある建材なので、こういった最新のものと伝統的な物をどちらでも選ぶことができるということもタイルの良い所なのかもしれません。
まとめ
タイルは歴史ある建材ですが、色々新技術を取り入れて、進化しています。レトロなマジョリカタイルや、トレンドの木目調タイルや天然石調タイル、どれがお気に入りですか?