MENU

検証「なぜ600角タイルが流行したのか」

タイル研究室

タイルには様々なサイズがありますが、現在主流となっている床タイルのサイズと言えば600角ではないでしょうか。

住宅市場を例に挙げると少し前までは300角が主流で600角の大きさになると「大き過ぎる」という反応が多く見られました。

そのため商業施設や店舗の物件から積極的に採用され始め、徐々に住宅を含む建築全般に広がった印象です。

このような流れで近年600角の需要が急速に拡大しましたが、これには様々な要因が考えられます。

この短い期間でどのようにして600角タイルがこれ程まで私たちの身近な商品になったのか。
検証しながら使用実例も合わせてご紹介致します。
*検証には個人的な見解も含まれておりますので予めご了承ください。

600角需要拡大の要因 ①「目地の面積」

タイルを施工する上で重要な役割を担う「目地材」。

物件のコンセプトや目指すテイストによっては「目地を出来るだけ少なくしたい。」という場合もあるのではないでしょうか。

同じ面積でタイルを比較する際、タイルのサイズが小さければ小さい程目地の占める面積は多くなるため、600角のように大きなサイズのタイルを使用することによって目地の面積を少なくすることが可能になります。

モダンで洗練された空間や無機質な空間をデザインする際、目地の「本数」を減らすには大きいサイズのタイルが適しています。

ムーブ MOV‐102/600
ムーブ MOV‐101/600

600角需要拡大の要因 ②「最新の加飾技術」

日本国内で流通量が多い600角タイルはそのほとんどが海外から輸入された商品です。

イタリアやスペイン、中国など600角タイルを大量に生産している国ではインクジェット加飾設備を導入している工場が多く、複雑で繊細な模様を再現することが可能です。

1アイテムで数十パターンの柄がMIXされているため、隣り合うタイルの模様が同じになってしまうことはほぼありません。

またナチュラルなムラ感を再現するなど最新の加飾技術で高い意匠性が実現されています。

エヴォストーン EVS‐103/600
クォーツ QUO‐103/600×300U

600角需要拡大の要因 ③「側面研削による寸法精度の向上」

①で「目地の面積」について触れましたが「目地幅を細く施工することはできないか」というご相談も数多く頂いていました。

タイルは水分を含む天然原料を高温で焼成しているため、寸法に幅が生じるため、あまり細い目地幅では目地が通らなくなり施工が出来ません。

海外メーカーの大型タイルは多くが焼成後、カット・側面研磨を行い基準寸法に合わせていますので、細目地仕上げをご検討の際は「・側面を研削して寸法精度を上げています。」という記載がある商品をお探しください。

「最小目地幅3㎜」で施工可能な商品もあります。
その際「・研磨(切り物)タイルは角がピン角になっていることが多いため、素手、素足では怪我をする恐れがあります。」という注意点も必ずご確認ください。

オキシド OXD-103/600
ルナピエナ LIP-105/600

600角タイルにデメリットはあるのか

結論から言うと600角タイルに想定されるデメリットはありません。

以前は他の形状と比べて割高だった600角を始めとする大判タイルは、世界的に生産・流通量が増えたことによって現在ではお求めやすい価格に定着しています。

強いて挙げるとすればタイルのサイズが大きい商品は割付けが難しく切り物ロスが多いという点です。

狭いスペースや複雑な納まりが求められる箇所への施工では、どうしても切り物ロスが(小さいタイルと比較すると)多めになります。

廃棄物の発生を出来るだけ抑えるという観点では課題ではありますが、「使える切り物は出来るだけ使う」ということで解決できるケースもありますのでデメリットという程ではありません。

マーブルポリッシュ CM‐03P/600
ライム RME‐7/600×300

タイルの大型化と大判タイルの可能性

今回は600角を中心に大判タイルをご紹介してまいりました。

タイルは更に大型化が進み1200×600や弊社では取り扱ってはいない3000×1000の超大判タイルなども流通しています。

大型化したタイルは重量が重くなり、サイズや仕様によって現場施工時の作業内容が異なります。
そういった意味でも600角は取り扱いやすさから需要が拡大したのではないかと考えられます。

施工面を考えると今後タイルのサイズが今以上に大型化するという可能性は考えにくいとは思われますが、その分機能面や意匠性で進化した大判タイルが世に出てくるのを楽しみにしたいと思います。

最後に、大判タイルは床だけでなく乾式工法によって壁面にも使用することが出来ます。
その際は必ず壁面への使用に対応してることと、専用の工法をご確認ください。
安心安全にタイルをご使用頂くために何卒宜しくお願い致します。

タイトルとURLをコピーしました