2022年度の新総合カタログを4月に発刊いたしました。
今回のタイル研究室では、新カタログに掲載された新製品の開発背景についてお話しします。
先進性を求め進化し続けるDanto Tileのハイエンドブランド「D⁺」の中から、個性的な新製品をピックアップしご紹介いたします。
brill
製品名のbrillとは「輝く」という意味のbrilliantの略語。
黒系の3色を金属釉と透明釉によって加飾したメタルボーダー。
厚みや色の組み合わせにより様々な表情を創り出せるのが特徴。
金属釉にも工夫を凝らし配合量と焼成時のわずかな温度の違いにも反応し、均一的ではない自然な色幅となる。
近年、Danto Tileの新製品はいわゆる「土もの系」と呼ばれる、ナチュラルテイストな製品を多く発信してきました。
一見それらとは対極的な意匠は、お客様からのご要望からヒントを得て生まれました。
「輝くタイル」は「昔のタイル」が連想されがちですが、あくまで「近代的な」色調・質感に強いこだわりを持ち、工場の技術者と何度も試作・検証を繰り返しました。
製品名の「輝く」の通り、光を帯びたbrillは空間に新しい表情を生み出します。
■形状は300×50(11㎜厚)と300×50A(17㎜厚)の2種類・色数3色(19,000円/㎡)国産品
KINTSUGI
「金継ぎ」とは陶磁器の割れや欠け部分を漆によって接着し、金属粉で仕上げる日本古来の伝統技法。
ひとつの物を大切にいつまでも使うという慎ましい思いが、修理技法を芸術にまで昇華させた。
興味深いのはこのKINTSUGIが海外(イタリア)品であるということ。
世界的な「サステナブル」の潮流が日本の伝統技法を遠く海外に伝え、タイルとしてイタリアでリデザインされ、最新の製法によってつくられ再び日本へ。
この時代だからこそ起こった偶然ともいえる。
新製品を検討していた時、「サステナブル」を感じさせる製品をつくりたい、という思いがありました。
「金継ぎ」も候補のひとつとして挙がっていましたが、「金継ぎ」自体のコンセプトが強すぎ製品化が難航していました。
製品化を見送ろうと思っていた矢先、偶然海外メーカーからこの製品の提案がありました。
「金継ぎ」は元来日本の伝統であり、それをなぞらえた海外品を取り扱うことに最初は抵抗がありました。
しかし「サステナブル」というコンセプトが、最新のデザインで、極めてシンプルに伝わってきたため、採用を決定しました。
まさに偶然が重なって出会えた製品です。
■形状は1200×600(注文品)、600角・色数合計8色(10,800円/㎡~)イタリア品
koh
kohはその名の通り、タイル表面のスクラッチの孔(あな)におちる影と、表面の粉により繊細なヘアラインを表現したロングサイズのボーダー。
焼き物らしさを追求し、風化した意匠を再現。
ナチュラルな色合いではあるが、292mmの長さと20㎜という厚みから、数ある湿式ボーダーの中でも特別な重厚感を感じさせる。
「本物」という言葉にふさわしい逸品。
開発段階ではスクラッチの入れ方と表面の粉にこだわり、釘の種類を変えながら何度も粘土に手作業で筋を入れ、粉を施しながら試作を重ねました。
寸法も試行錯誤の末、この寸法に辿り着きました。
縦貼りにすることで、スクラッチと孔(あな)の醸し出す陰影がより一層引き立ちます。
■形状はボーダーL 292×40・色数4色(16,000円/㎡)国産品
製品の詳細は総合カタログ、または製品一覧ページでご確認ください。
次回のタイル研究室では、もう一つのブランドである「D’s」の新製品をピックアップしてご紹介いたします。是非ご覧ください。