最近のタイルを見ると、「これでもタイルなの?」と驚くような、デザイン性に優れたタイルが見られます。
本物の木や石と見間違うようなタイル、これらの意匠性はここ10年くらいで急激に進歩したんです。
1、モノマネの始まり
タイルは西欧のれんが作りの家屋では接着しやすいので、紀元前から使用されていましたが、日本のように地震が多く木造建築が多い国ではなかなか利用されませんでした。
しかし、明治時代になり西欧の生活が取入れられ、洋風建築が入ってくると、美しいデザインタイルがイギリスから輸入されてきました。そして、その美しさに魅せられ、日本でもタイルを作りたいとの機運が生まれてきました。
イギリスのヴィクトリア朝時代に作られたものを総じてビクトリアンタイルという
一般社団法人全国タイル業協会/全国タイル工業組合「タイル手帳」より
2、西洋と東洋の融合
Danto(ダントー)の前身である「淡陶社」は、イギリスから輸入された美しく素晴らしいタイルを目指し、なんとか同じようなものを作りたいと研究をはじめました。
淡陶社が製造していた「淡路焼」は、当時の日本では珍しい輸入タイルと同じ硬質陶器であったため、その製法を利用することにより、いち早くイギリスのタイルを模倣して完成させることができました。
まさしく、西洋と東洋の陶器製法の融合を実現することができました。
3、日本風にアレンジ
西洋建築が普及するにつれ、レンガづくりの建物は全国的に広がりを見せました。
関東大震災でレンガ建築が大きな被害を受け、それを契機に地震国ではレンガつくりの建物は適していないと言われはじめました。
その後、コンクリート建築が基本に変わり、その表面にレンガの意匠を模倣した、レンガタイルを外装に張ることが一般的となりました。
このように耐久性に優れたタイルの材質を活かして他の建築素材の質感デザインを追い求めていくことになります。床タイルでは御影石をまねしていろんな色の土を混ぜ込んだタイル「磁器床タイル」が長年にわたり、愛されてきました。
4、モノマネ王者の挑戦
近年では、デザインプリント技術において、スクリーン印刷、凹版印刷による方法やインクジェットによる方法など目覚ましい発達があり、また従来からある釉薬の技術やレリーフ成形の技術と合わさり素晴らしい意匠を表面に施すことができるようになりました。
その中には、
本物の石と間違えるほどの意匠をデザインした石タイル
コンクリート打ちっぱなしを表現したコンクリートタイル
木目をデザインしてほとんど木と区別ができないほどの素晴らしい木目調タイル
まとめ
これからの建築様式では、タイルのすぐれた耐火性、耐久性を持ちながら、他の素材の質感をタイル表面に表現した新しい質感のタイルが次々と作られていくことでしょう。
オリジナルの素材自体はもちろんそれぞれの良さがありますが、それらをモノマネしたタイルの特性を活用してみるのも選択肢のひとつとしていかがでしょうか。