今回のタイル研究室では、建築やデザインにおいて重要な素材である「天然石」と「石調タイル」についてお話しします。
天然石の種類と特徴
天然石は火成岩・変成岩・堆積岩に分類されます。
火成岩
火成岩には花崗岩と火山岩があります。
花崗岩はマグマがゆっくりと冷えて固まった岩石で、石としての名称は御影石です。
耐薬品性や硬度に優れ、摩耗に強い特性が魅力です。
火山岩はマグマが地表で急速に冷却し固まった岩石です。
安山岩が代表的な例で、細かい結晶と耐久性が特徴となります。
御影石調タイル
変成岩
変成岩は既存の岩石が熱や圧力などにより再結晶化してできた岩石です。
大理石と粘板岩(スレート)がよく知られています。
大理石は、石灰岩が高温と高圧の変成作用を受け再結晶化した岩石です。
美しい模様や色合いが特徴であり、建築や彫刻、インテリアに幅広く利用されます。
大理石調タイル
粘板岩(スレート)は堆積岩の一種で、節理が発達しているため大板が剥がれる特性を持ちます。
屋根材や黒板、床材などに使用されることが多く、泥岩が薄層状に堆積し強固化した石材です。
玄昌石はこの粘板岩に含まれます。
スレート調タイル
堆積岩
堆積岩には砂岩・凝灰岩・石灰岩があります。
砂岩は砂や土の堆積から形成され、柔らかな質感が特徴です。
建築や庭の装飾に使用されます。
凝灰岩は火山灰などの主成分から形成され、柔らかな特性と美しい色合いが建築や彫刻で活用されます。
石灰岩は主成分が炭酸カルシウムで構成され、美しい模様や色合いを持ちます。
建築や彫刻、装飾などに広く利用され、ライムストーンが含まれます。
ライムストーン調タイル
石調タイルの特徴と魅力
豊富なデザインとカラーバリエーションと安定的な供給
石調タイルは、多様な天然石の風合いを忠実に再現しています。
大理石、石灰岩、トラバーチン、砂岩など、さまざまなデザインやカラーバリエーションの商品があります。また、人工的に作られているものなので、天然石のように枯渇してしまう心配もありません。
高い耐久性と長寿命
石調タイルは、天然石と同様に耐久性に優れています。
磁器質のタイルは吸水率が低いため耐久性が高く、清掃等のメンテナンスをしっかり行えば綺麗な状態が維持できます。
その為、施設などでも幅広く使用されています。
経済的な選択肢
天然石は高価な素材であり、施工やメンテナンスにも手間がかかりますが、石調タイルは天然石と比べ価格が抑えられるため、経済的な選択肢として人気があります。
施工のしやすさ
石調タイルは工業製品の為、色合いや寸法のバラツキが天然石に比べて小さく、施工が比較的簡単です。
メンテナンスの簡単さ
石調タイルはそのほとんどが磁器質で吸水率が低いため、撥水処理等のメンテナンスは不要です。
ほとんどの汚れは中性洗剤で落とすことができますが、耐薬品性に優れているため、ひどい汚れが付着した場合でも落とすことが可能です。
*一部使用できない薬品があります。
環境に優しい選択
天然石を模倣する石調タイルは、天然資源を節約する点で環境にも優しい選択肢と言えます。
タイル先進国であるイタリアは天然資源を守るため、国策としてタイル製造を推進しているようです。
まとめ
天然石と石調タイルはそれぞれ異なる特性を持ち、建築デザインにおいて欠かせない素材です。
使用目的や予算、メンテナンスの手間を考慮して、理想の空間を創り上げる素材選びをお楽しみいただければと思います。