今回のタイル研究室では、環境とタイルについてお話しします。
また、その中でも特に環境に配慮した商品と、それらがどのような特徴があるのかなども併せてご紹介いたします。
実は環境に優しいタイル
タイルは環境に優しい建材です。
建築および内装デザインの意匠材として広く採用されていますが、実は環境に優しい建材です。
その理由を説明します。
天然原料と再生材料を使用
タイルは、主に長石(ちょうせき)、陶石(とうせき)、粘土(ねんど)などの土を原料として作られています。
土は天然鉱物で有害物質を含んでおらず、地球環境に優しく、人にも優しいエコな建材です。
少し話はそれますが、よく環境問題で話に出てくるプラスチックは石油から作られており、合成樹脂とも言われます。他の素材と比較して軽量で丈夫、加工もしやすいことから、身の回りの様々な製品や容器包装などに幅広く利用されています。その一方で、優れた耐久性・安定性ゆえ自然界で分解されにくいという特徴があり、いわゆる「海洋プラスチック問題」につながっています。ちなみに日本の一人当たりの年間のワンウェイプラスチック容器包装排出量は、世界第2位 (1位はアメリカ)と多い状況です。※「Single-use plastics: A roadmap-for sustainability」(国連環境計画、2018年)より
またタイルは多くの製品に再生材料が使用されています。
採石・窯業坏土類・陶磁器屑などが主なものですが、その他にも廃ガラス、下水道汚泥溶融スラグなどの産業廃棄物がこの再生材料にあたります。
この比率が5%以上でリサイクル製品、20%以上でグリーン購入法適合製品、50%以上でエコマーク認定の基準をクリアします。
産業廃棄物を利用することは、ゴミの排出を抑え、地球環境に貢献していると言えます。
高い耐久性
タイルは約1200~1300℃で焼成しているため、紫外線や熱に強い性質があります。
メタルウェザーメーターによる試験では、4000時間経過時(約40年相当)でも、ほとんど退色が見られない結果となっています。
また、他の建材に比べ吸水率が低く汚れにも強い建材で、メンテナンスに掛かるエネルギーや資源の削減にもつながります。
美観の維持
タイルは汚れに強い建材で、建物の美観を長く維持しやすい建材です。
美しい建物は地域社会全体の価値を高め、豊かな生活環境を作ります。
美観の維持が環境配慮につながるのか?という事を思われるかも知れませんが、SDGs的観点からみると「11 住み続けられるまちづくりを」に該当するのではないか、と考えています。
サステナブルな商品のご紹介
蛍光灯の廃ガラスを100%使用したリサイクルガラスタイル『あかつき』
SDGsへの取り組みの中で、目標12「つくる責任 つかう責任」の観点から、廃棄される蛍光管に注目しました。
家庭用、業務用照明のLED化により廃棄される蛍光管を再利用することで、地球環境に優しく、なおかつ廃ガラスの持つ独特の風合いを意匠に生かした、数少ない100%リサイクルガラスタイル『あかつき』が生まれました。
一般的な蛍光管のリサイクルは、水銀と蛍光粉を除去して、もとのソーダガラスの原料に戻すことが通常ですが、あかつきはあえて蛍光粉が微量に付着したカレットを用いることで、蛍光体特有の表情を表現しています。
一般的なガラスの製造には1200~1400℃の高温が必要となりますが、あかつきは蛍光体の特性や自由度の高い成形性が得られる低温で焼成することに加え、タイル製造で培った当社独自の製法技術によって製造時間を大幅に短縮することで、エネルギー消費率が約1/5に軽減されます。
このリサイクルタイル『あかつき』は、公益財団法人日本環境協のエコマーク認定を受けており、グリーン購入法適合品の基準を満たしている商品です。
中国の廃レンガをリユースした『レトロブリック』
中国上海地区で実際に建築用として使用されていたレンガをスライスし、レンガタイルとしてリユースした『レトロブリック』。
寸法や厚さが不均一な商品ですが、その不均一さにより自然な壁面デザインをつくりだします。
インダストリアルデザインに対応する商品になりますので、工場街のようなイメージのインテリア空間を作りたい際におすすめです。
本来であれば海外で廃棄されるものをリユースし活用することは、地球の環境保全に貢献していると言えるのではないでしょうか。
ちなみに「リユース品ということは、限りがあるのでしょうか?」というご質問を受けることがあるのですが、元の素材である上海レンガは相当量使用されており、今後建て替えが行われる度に出てくる素材であるとのことなので、当面枯渇することは無さそうです。
空気浄化機能があるハイドロテクト外装タイル
ハイドロテクトは、光触媒を利用し光や水の力で地球も暮らしもきれいにするTOTOの環境浄化技術であり、技術ブランドです。
当社では同社とライセンス契約を締結し、ハイドロテクト商品を販売しています。
光触媒作用は、植物の光合成と同じような仕組みで、光がハイドロテクトの光触媒(酸化チタン)層に当たると「分解力」と「親水性」が発生し、「空気浄化」「セルフクリーニング」など暮らしや地球環境に役立つ効果を発揮します。
光触媒は太陽や雨など自然エネルギーのみで効果を発揮するため、環境負荷やメンテナンス負荷が低く、使用されている酸化チタンは食品添加物にも認定されている安全なものです。
まとめ
今回のタイル研究室では、タイルが環境にやさしい理由と、環境に配慮した商品について詳しく紹介しました。
タイルは、天然鉱物を主成分とすることで有害物質を含まず、地球環境と人にとって安全な建材です。産業廃棄物である再生材料を加えることで、ゴミの排出も抑えています。
また、高温で焼成されるため、紫外線や熱に強く、吸水率が低いため、長期間にわたり美観を保ち、メンテナンスにかかるエネルギーや資源を削減できる点も魅力です。
そして、美しい建物は地域社会全体の価値を高め、住み続けられるまちづくりに貢献します。
さらに、環境に配慮したタイル商品をご紹介しました。
『あかつき』は蛍光管の廃ガラスを再利用し、エコマーク認定を受けた地球にやさしい100%リサイクルのガラスボーダータイルで、今当社で人気の商品です。
『レトロブリック』は中国の廃レンガを再利用しています。その不均一さは自然な壁面のデザインを可能にし、廃棄物の削減に貢献しています。
そして、『ハイドロテクト外装タイル』はTOTOの環境浄化技術を活用し、光触媒による空気浄化とセルフクリーニング機能を備えています。
自然エネルギーを利用しており、酸化チタンの安全性が高いため、環境への負荷が低い点が特徴です。
これらの商品は、持続可能な建築とデザインの分野において、環境に対する責任を果たし、美しさを追求することが両立可能な選択肢になると考えています。
世界で環境への意識が高まる現在、こうした環境に配慮したタイルが、今後社会でますます注目され、選ばれることを期待しています。
私たちDanto Tileはメーカーの責任として、これからもタイルを通じて環境にやさしく、美しい建物とまちづくりの実現に貢献していきます。また商品だけでなく全ての企業活動も含め、SDGsの目標達成に貢献していきたいと考えています。SDGsの取り組みは下記のサイトで情報を配信していますので、是非ご覧ください。